懸念点も多い?iPhoneのセルフサービスリペアを徹底解説

iPhone修理サービス比較

Appleから発表されて注目を集めている「セルフサービスリペア」。利用者が自分でiPhoneを直すことをサポートしてくれるサービスのことで、期待している人も多いのではないでしょうか。しかし、このセルフサービスリペアは手放しで喜べないところもあるのです。この記事では、iPhoneのセルフサービスリペアの概要や懸念点などについて解説します。

まずは復習!従来の修理はどうなっていたか

iPhoneのセルフサービスリペア(Self Service Repair)の説明に入る前に、従来のiPhoneの修理方法について復習しておきましょう。Apple によるiPhoneを修理する方法は3つです。1つ目は「Appleストアに郵送して修理してもらう方法」、2つ目は「直営店舗のAppleストアに持ち込んで修理してもらう方法」、3つ目は「正規サービスプロバイダ認定の代理店に依頼して修理してもらう方法」です。ただし、どの方法を取るにしても、修理には時間がかかるうえに費用も高くつきます。もちろん、民間の修理店でiPhoneを修理することも可能です。しかし、この場合ほとんどが正規保証の対象外になってしまうのです。また、Apple自身もこれまでは「修理は正規のサービスを通して行う」ということにこだわり続けていました。

ところが、アメリカやイギリスにおいて「自分が所有するものは自分で修理する権利がある」という議論が高まってきたことを契機に風向きが変わってきます。Appleではこうした世論の動きを無視できずに、自社の方針を転換。2021年11月17日(現地時間)、利用者自身によるiPhone修理をサポートするセルフサービスリペアを打ち出すことにしたのではないかと言われています。

部品のリサイクルも!iPhoneのセルフサービスリペアとは

iPhoneのセルフサービスリペアとは、いったい、どのような内容なのでしょうか。次から、セルフサービスリペアの概要をはじめ、開始時期・対象機種、対応モジュールについて解説します。

概要

セルフサービスリペアとは、Appleによるサポートサービスのことです。利用者自らがiPhoneを修理できるように、Appleが純正部品や修理マニュアルを提供してくれるというものです。まず、自分の手でiPhoneを修理したいと考えている利用者はAppleのオンラインストアで必要な部品を購入します。どの部品がいるのかは、Appleが提供している修理マニュアルを参照しましょう。修理が済めば、使用済の壊れた部品は不要になります。不用品は燃えないゴミの日に捨ててしまうのではなく、Appleに返却しましょう。そうすれば、Appleが部品をリサイクルするので、環境にも優しいのです。さらに、部品を返却すれば、購入金額に応じてAppleの製品やサービスを購入する際に利用可能なクレジットを受け取ることができるのです。

開始時期・対象機種

セルフサービスリペアのスタートは、2022年の初頭を予定しています。どこの国でも一斉に始まるわけではなく、まずはアメリカから利用できるようになります。Appleでは、2022年の間にアメリカ以外にも対応する国を追加していくと発表しています。ただし、日本については、セルフサービスリペアの計画が発表された2021年11月17日(現地時間)時点では未定です。また、対象になるモデルもスタート時は限定的で、まずはiPhone12やiPhone13シリーズから始まる予定です。その後、MacBook Airなどを追加するとしています。

対応モジュール

セルフサービスリペアは全てのiPhoneのモジュールに対応しているわけではありません。まずは、ディスプレイをはじめ、カメラやバッテリーなど、利用者が故障によって交換することが多いモジュールから対応していきます。2022年後半には、そのほかのモジュールも対応可能になっていく予定です。さらに、Appleのオンラインストアでは200以上の純正備品やツールを提供する予定となっています。

日本での実現は困難?セルフサービスリペアの懸念点

iPhoneのセルフサービスリペアがスタートすることで、修理業者に頼まなくて済むことが増えます。そのため、短時間で安く修理ができると喜んでいる人が多いかもしれません。しかし、日本においてセルフサービスリペアを利用するには、法律の制約や技術的な課題があるのです。次から、セルフサービスリペアの懸念点について解説します。

電波法違反になる恐れがある

日本において、セルフサービスリペアを利用するには問題があると言われています。それは「電波法」違反になる可能性があるからです。各種通信機能が搭載されているため、iPhoneは無線機に分類されます。無線機が発した電波が周りの機器や人体に影響があってはいけません。電波法では、そういった影響の有無を検査する仕組みが定められています。検査に合格することで安心して無線機を使うことができるのです。検査に合格すると、その機器には「技適マーク」が与えられます。技適マークがない無線機を使うのは、日本では違法になる可能性があります。では、iPhoneを購入した際、このマークがついているかどうか、心配になる利用者もいるかもしれません。しかし、通常はAppleがこの検査をしっかり行っているため、購入すればそのまま使うことができます。

しかし、利用者がiPhoneのカバーを開けるとなると話は違ってきます。というのも、電波法によって、カバーを開けた時点で技適マークが無効になると定められているからです。知識や技術のない利用者がiPhoneの内部を触ると、電波法に適合した仕様から外れてしまうとみなされるのです。技適マークが無効になったiPhoneで、電話をしたりネットにアクセスしたりすると、電波法違反に問われるかもしれません。

ただし、iPhoneをはじめ無線機のカバーを開ければどのようなケースであっても技適マークが無効になってしまう、ということはありません。総務省が登録修理業者制度で登録した業者が行う場合、技適マークは無効になることはないのです。ですが、日本ではこうした法律があるため、利用者自身が行うセルフサービスリペアの提供には課題があると言われています。

プロでない人にとっては技術的に難しい

iPhoneの部品は非常に小さいため、取り扱いが大変です。パネルと基板をつなぐケーブルも非常に細く、力が入りすぎると切れてしまう可能性もあるのです。さらに、表示パネルを外すには、ツールに吸盤を用いるといった特殊な方法が必要になります。そのため、内部を分解するとなると、手先がかなり器用でなくてはなりません。また、iPhoneの内部に詰め込まれた部品に関する知識も必要になります。分解して修理はできたものの、元の状態に戻せなくなってしまったというケースも多々あるのです。

iPhoneの修理に慣れていない素人が無理やり内部を分解してしまうと、直すどころか壊してしまう可能性もあります。iPhoneは電子部品が密集しているという構造上、静電気に弱いという特徴があります。内部を分解している最中、身体にたまった静電気と電子部品が反応して放電すれば、一瞬にして壊れてしまうこともあるのです。バッテリーにまで衝撃が及ぶと、最悪のケースでは火災にもつながってしまう可能性があります。修理費を安く済ませるつもりが、かえって高くなってしまうかもしれません。

そもそもAppleのセルフサービスリペアは、電子機器を修理する知識と経験を持つ個人技術者を対象としてスタートする予定です。何の知識も経験もない利用者に対して、勧めているサービスではありません。日本において電波法の問題がクリアになったとしても、iPhoneの修理経験がない人は、セルフサービスリペアに手を出さないほうが無難でしょう。

セルフサービスリペアはハードルが高い!不安な人はプロを頼ろう

セルフサービスリペアによって個人で修理することができれば、これまでよりも修理費が安くなることが期待できます。しかし、日本でこのサービスを提供するとなると、法的な問題が絡んできます。そのため、実際にスタートするにはハードルが高いと言えるでしょう。また、そもそもこのサービスはiPhone修理に関するスキルを持つ人が対象です。作業に自信がない人は、今までどおりプロに依頼するようにしましょう。

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