iPhoneを使用中に、「高温注意」というメッセージが表示されることがあります。初めて見たときには驚くかもしれませんね。
電子機器は熱に弱いため、高温状態が続くと故障することがあるのです。そこで、この記事では高温になる原因や正しい対処法、発熱させないための対策について紹介します。
最後まで読めば、iPhoneを発熱させずにうまく使えるコツを知ることができますよ。
1.iPhoneで「高温注意」と表示される理由
iPhoneを使おうとした際、突然画面に「高温注意」という警告が出ていたら驚いてしまいますよね。
SNS上では、同様の事態になったiPhoneユーザーから「故障ではないか」と心配の声が相次ぎました。
たしかに、このメッセージが表示されるとほぼすべての機能が使えなくなってしまうため、多くのユーザーがiPhoneの故障を疑うのは無理もありません。
しかし、安心して大丈夫です。結論からいえば、この症状は、正しい対処法をとることで改善します。
そもそも、この警告の目的は故障を伝えることではなく、「高温状態による故障を防ぐため」のものです。
iPhoneのような精密機器は熱に弱いため、高温の状態が続くことで故障、あるいは何らかの不具合を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、警告を出してユーザーに高温状態を知らせているのです。
しかしながら、ただ冷やせばいいのかといえばそうではありません。対処法を誤ったばかりに二次被害の故障につながってしまった事例もあるため、「高温注意」に対する正しい対処法を身に着けて適切に対応しましょう。
2.iPhoneの高温注意とは?原因と不具合について
「高温注意」の対処法を紹介する前に、ここでは、iPhoneが高温になる4つの原因を紹介します。特に、暑い日が続く夏は「高温注意」になる可能性が高まるため、原因を知って予防に努めるといいでしょう。
また、高温状態になることでどのような不具合が発生するのかについても、あわせて解説します。
2-1.高温になる原因
Appleの公式サイトによれば、iPhoneを使用するための推奨環境温度は、0~35℃とされています。環境温度というのは、周囲の温度のことです。
適正温度以上の環境下で使用することでiPhone本体が高温となり、「高温注意」の警告につながります。具体的に、iPhoneが高温になってしまう原因は4つ考えられます。
1つ目は、「iPhoneの密閉性」が原因となるケースです。一般的に、iPhoneは防水機能などの面から、非常に密閉性が高いつくりになっています。そのため、大量に熱が発生した場合はうまく放出できず、内側に熱がこもりやすいのです。
2つ目は、iPhoneを長時間直射日光にさらしたことによって、本体が熱くなるケースです。たとえば、海水浴やBBQの際、直射日光の当たる場所に放置していたことなどが原因となります。
また、iPhoneをカーナビ代わりにするため、長時間ダッシュボードの上などに置いておいた場合も危険です。ダッシュボードは非常に高温になりやすいため、たとえ車内にクーラーが効いていても、直射日光を浴びて本体が熱くなってしまう可能性は十分にあります。
位置情報などのGPS機能は電力を消耗するため、それだけでも熱くなってしまうことがあります。一概に室内だから安心ということはないので注意しましょう。
3つ目は、グラフィック系のゲームなどを長時間使用した場合です。こうしたゲームは容量が大きく電池の消耗が激しいため、それに比例して本体に熱がこもりがちです。
「高温注意」は夏場だけ注意していればいいと考えがちですが、このように季節に関係なく発生する原因もあります。熱くなってきたと感じたら、早めに中断するなどして、高温になりきらないような工夫をするといいでしょう。
4つ目は、夏場の車内に長時間放置したことで、iPhoneが高温状態になってしまうケースです。炎天下、エンジンを切った車内の温度は70~90℃にまで到達する場合があります。
適正温度を大幅に上回っているため、「高温注意」の警告が出ることはもちろん、最悪の場合はバッテリーが膨張して、使い物にならなくなってしまう可能性もあります。短い間だからといって油断せず、なるべく持ち歩くようにするといいでしょう。
また、冬場であっても、暖房器具の前に長時間放置したことが原因で同様の症状が現れることもあります。
2-2.高温時の不具合
「高温注意」が表示されると、iPhoneのほぼすべての機能の使用ができなくなります。もちろん、メールや電話などの基本的な機能も使えません。緊急電話のみ使える場合もありますが、それも確実ではないでしょう。
また、「高温注意」の警告自体が消えて、iPhoneに何も映らなくなったり、充電ができなかったりという不具合が起こる可能性もあります。
作動したとしても、電波が弱くなったり、カメラの機能の一部が制限されるといった不具合も報告されています。再び正常に利用するためには、iPhone本体が冷却されるまで待つしかありません。
3.高温注意の正しい対処法
ここでは、iPhoneに「高温注意」と表示されてしまった場合の正しい冷却法について説明します。
誤った対処法をした場合、思わぬ原因で故障する可能性があるため、必ず適切に対処しましょう。有効なのは、以下に紹介する3つの方法です。
3-1.電源を切る
まずは、高温状態になっているiPhoneの電源を切りましょう。電源を切るための手順は通常と変わりません。
ただし、このときのiPhoneは非常に高温になっている可能性があります。油断して素手で触ってしまうと火傷のリスクがあるため、服やハンカチ越しに掴むようにするなど、取り扱いには十分注意しましょう。
電源が切れたら、場所を変えてiPhoneを放置します。なお、冷却している間は決して充電しないように注意しましょう。
仮に電池が残り少なくなっていたとしても、iPhoneの反応が悪いのは電池が足りないからではありません。むしろ、このタイミングで充電をすることでバッテリーに負荷がかかるため、さらにiPhoneの温度を上げてしまう可能性があり、注意が必要です。
3-2.涼しい場所へ移動
電源を切ったら、iPhoneを直射日光が当たらない場所に移動させましょう。とはいえ、洋服のポケットやバッグに入れてしまうとその中で熱がこもってしまうため、放熱までに時間がかかる場合があります。
服越しに火傷をしてしまう可能性もあるので、基本的にはテーブルの上などの風通しの良い場所に放置しておくといいでしょう。できれば、ひんやりと冷たい素材であるステンレス製や石製の台に置けばより効果的です。
なお、木やガラスは熱が移りやすいため、高温のiPhoneを置く場所には適していません。いくら室内が涼しくても、iPhoneと台の接地面が熱くなっていれば意味がないのです。
また、このとき、iPhoneにつけているケースやカバー、そのほかのアクセサリーは排熱を妨げる恐れがあるため、すべて外しておきましょう。
3-3.冷風を当てる
iPhoneの温度を下げるポイントは、徐々に温度を下げることです。そうは言っても、用事があってすぐにでもiPhoneを使いたいときは、のんびり待っていられませんよね。
そんなときは、クーラーなどの冷風を当てるのも効果的です。冷風によって、通常よりも早く本体の温度が下がる効果が期待できます。クーラーであれば徐々に熱が下がるため、結露による二次被害もそれほど心配ではありません。もちろん、車に搭載されているクーラーでも同様の効果が期待できます。
また、外出時であれば、持ち運びができる小型の扇風機などを利用するのもいいでしょう。
4.高温注意のNG対処法
iPhoneに「高温注意」が表示された場合、一刻も早く冷まそうとして誤った対処法をしてしまう人は少なくありません。
ここでは、iPhoneが高温になったときに絶対にやってはいけない3つの対処について解説します。
4-1.氷水へ浸す
1つ目の間違った対処法は、「iPhoneを氷水へ浸す」ことです。たしかに、iPhoneは防水性に優れているため、少しくらいなら大丈夫と考える人もいるかもしれません。
また、直接ではなく、防水のビニールなどに入れた上で氷水に浸しておけば問題ないと考える人もいるでしょう。しかしながら、いずれにしても故障につながる行為のため、絶対にやってはいけません。
なぜなら、冷たい氷水の中に浸すことで急激にiPhoneの温度が下がり、内部に結露が発生してしまうからです。iPhoneに限らず、電化製品は外側から急激に冷やされることで中心部と温度差ができ、結露が発生しやすくなります。これによって内部がいわゆる水没状態になり、二次被害での故障につながる恐れがあるので注意しましょう。
4-2.冷凍庫へ入れる
意外と多いのが、「高温注意」の警告に慌ててしまい、急いで冷やそうとして冷凍庫に入れてしまうケースです。
たしかに涼しい場所ですし、一見、氷水のように水没の危険性もないように感じますよね。ところが、これもiPhoneを急激に冷やしてしまう行為のため結露の原因になりやすく、ひいては故障につながる可能性が高いため、避けたい対処法の1つです。
なお、冷凍庫ほどではないにしろ、同様の理由で冷蔵庫での放置も推奨されていません。
4-3.急激に冷やすのはNG
氷水、冷凍庫に限らず、急激に冷やすような対処法は絶対にやめましょう。急激に冷やすことで考えられる問題は、結露だけではありません。バッテリーの劣化を早め、寿命を短くする原因にもなるので絶対に避けましょう。
警告が出たからといって、一刻の猶予もないわけではありません。警告のメッセージに慌てず、徐々に熱を下げるというポイントを守る必要があります。
5.iPhoneを高温にしない対策
「高温注意」への適切な対処法を学ぶことも大切ですが、まずは、警告につながらないよう、高温対策をする必要があります。
ここでは、iPhoneが高温にならないようどうすればいいのか、日頃からできる対策を紹介します。
5-1.iPhoneケースを使用しない
iPhoneはケースが充実しているため、ケース選びが楽しみという人も多いでしょう。ところが、iPhoneにケースやカバーをつけた結果、かえって通気性が悪くなり、熱がこもりやすくなってしまう可能性があります。熱をこもらせないという観点からみれば、ケースやカバーをつけず、そのままの状態で利用するのが理想的といえるでしょう。
裸で使うことに抵抗がある場合は、「バンパー」を使うことで不安が和らぐかもしれません。カバーやケースの代わりにiPhoneの淵に取り付けるバンパーであれば、空洞になっている背面から熱を逃せる上、落としたときの衝撃からも端末を守ることができますよ。
5-2.ケースを使う場合は色に注意する
iPhoneのよくある故障原因に「落下による衝撃」があります。使用頻度の高いiPhoneは必然的に取り出したりしまったりという動作が多くなるため、ふとした拍子に手を滑らせて落としてしまうこともありますよね。直接故障につながらなくても、一部が欠けてしまったり、画面が割れてしまったりしたら嫌ですよね。
このように、いざというときの衝撃から守ってくれるからという理由でケースやカバーを外せない人もいるでしょう。どうしてもケースを使いたい場合は、「色」を意識して選ぶのがポイントです。たとえば、黒や濃紺などの濃い色には光を集めやすく、逃しにくいという性質があるため、余計な熱をiPhoneに与えてしまう恐れがあります。一方で、白や淡い色合いのパステルカラーにはそのような性質がないため、夏場のケースとして向いています。
なお、淡い色であっても、レザータイプのように素材そのものに熱がこもりやすい場合もあるので注意が必要です。熱がこもりにくく、通気性の良いものとして、メッシュタイプのカバーを使う方法もあります。
このタイプのカバーは放熱を目的としてつくられているため、背面部分にドット模様などの穴がたくさん開いています。そのため、通常のカバーよりも通気性が良いのが特徴です。ドットだけでなくスタイリッシュなデザインも多数あるので、好みのものを探してみるといいでしょう。
6.iPhoneの高温注意が続く場合の対処法
iPhoneの「高温注意」は適切な対処をすることで改善しますが、それでも高温状態が続く、もしくは高温状態を頻繁に繰り返す場合には注意が必要です。
ここでは、その際の対処法について解説します。
6-1.バッテリー交換
バッテリーは熱に弱いため、高温状態が続くことで劣化しやすくなります。頻繁に発熱が繰り返される場合は、バッテリー自体が寿命を迎えている可能性があります。この場合は、バッテリーを交換することで状況が改善するでしょう。
6-2.修理を依頼する
iPhoneが高温状態になることで、本体のソフトウェア面やハードウェア面がダメージを受け、故障することがあります。
高温状態が続く場合は、深刻なダメージにつながる前に修理に出したほうが安心です。修理に出す場合は、割引やサポートが充実している「アイサポ」へ依頼するといいでしょう。
7.iPhoneの高温注意は故障防止
iPhoneに「高温注意」が表示されるのは、熱による本体の故障を防ぐためです。警告が表示された場合は、慌てずに電源を切り、涼しい場所で放置するなどして徐々に温度を下げるようにしましょう。
特に、夏場は発熱させないようにポイントを押さえ、上手に使う必要があります。